電影少女

ピュアな心の持ち主しか出会えない「ビデオガール」を利用した人間達の恋の物語。少年向け漫画としては非常に心理描写が繊細で深く、嫉妬や打算と言ったリアルな恋愛模様が描かれている。しかしメインテーマは純愛であり、リアルな恋愛模様とは正反対のピュアな恋愛を貫こうとする登場人物達の葛藤などが最近の恋愛漫画とは一線を画している。登場人物達は皆現実世界に存在するような一般人であり（一部SF的要素もあるが）、恋や人間関係に対する弱さや嫉妬、エゴイズムがリアルに表現されており、それは主人公の洋太に関しても例外ではない。また桂正和先生の絵が全編に渡り素晴らしく、性的描写シーンも多いのだが、非常に女性キャラクターの描き方が上手く、ただ単にエロいというわけではなく、芸術的で「美しい」と素直に思わせるキャラクターばかりである。本編の内容は様々な人間ドラマが繰り広げられ、決して幸せになって良かったね、だけですませられるような話ではないが、読後は不思議と安心感を得ることが出来、自分にもピュアな心があるのかなと優しい気持ちにさせてくれる良作である。ちなみに、1〜13巻までが「あい編」で、14〜15巻が「れん編」となっている。